こんにちは!読まされ母のにゆままです。
いつもは「笑えるか、笑えないか」で絵本を選んでいる私ですが、今回は少し違います。笑いはありません。盛り上がりもありません。でも、読み終わった後の静けさが、ずっと残っている一冊です。
この絵本との出会いも図書館でした。タイトルを見た瞬間、「あけるな」と言われているのに手が伸びていました。禁止されると気になる、あの感覚です。
『あけるな』のあらすじと基本情報(谷川俊太郎・安野光雅)
文:谷川俊太郎 絵:安野光雅 出版:復刊ドットコム 初版:1976年
レンガ造りの建物の扉に「あけるな」と書かれた板が打ち付けられている。ページをめくるたびに警告文が続く。「みるな」「ちかよるな」「さわるな」——読み手は知らず知らずのうちに物語の中へ引き込まれていく。
そして最後のページに、目を見開いた人形が現れる。その意味は、読者に委ねられている。
1976年の初版から長く読み継がれてきた作品です。谷川俊太郎の言葉は最小限でありながら、ページをめくる手を止められない。安野光雅の絵は美しくも不気味で、懐かしさと怖さが同居している。絵本なのに、絵本らしくない。そんな一冊です。
読み聞かせの体験
読み始めた瞬間から、子どもたちの様子がいつもと違いました。笑いません。突っ込みません。静かにじっと、本の世界に入り込んでいました。
ページをめくるたびに警告が増えていく。そのリズムが子どもたちを引きつけていたのか、誰も声を出さないまま、ただ絵を見つめていました。「あけちゃいけないの?」「あけたらどうなるの?」という言葉が聞こえてきそうなのに、何も言わない。その緊張感が、こちらにも伝わってくるようでした。
読み終わったとき、子どもから出た言葉は「おー」の一言だけでした。
その後も静かでした。何か話すわけでもなく、もう一回読んでとせがむわけでもなく、ただその余韻の中にいました。普段の読み聞かせとはまったく違う空気が、部屋に漂っていました。
「おー」に詰まっていたもの
読み終わって「おー」と言う。たったそれだけです。でも、私にはその一言が、とても大きく聞こえました。
感想を言葉にできるということは、感じたことを整理できているということ。でも言葉にならないまま「おー」で終わるのは、まだ処理しきれていないくらいの何かが、胸の中にあるということだと思います。あくまで私の個人的な解釈ですが、あの「おー」には言葉にならない深さがあった気がして、感想を引き出そうとしなくてよかったと思いました。
読み聞かせで、子どもが大笑いしてくれることも嬉しい。でも、こうして静かに絵本の中に入り込んで、言葉にならないまま何かを感じてくれることも、同じくらい大切な時間だと思いました。
読んで気づいたこと
私自身も、この絵本の静けさに圧倒されました。文字が少ないのに、ページをめくる手が止まらない。安野光雅の絵が持つ独特の雰囲気と、谷川俊太郎の言葉の力が合わさって、読んでいる間ずっと息をひそめているような感覚がありました。
これはあくまで私の個人的な感想ですが、最後の人形のページが特に印象に残っています。目を見開いているその表情が何を意味するのか、読み終わってからも頭の隅に残り続けました。答えが提示されないからこそ、自分なりに考え続けてしまう。そういう余白のある絵本は、子どもだけでなく大人にも刺さります。
笑える絵本ばかり読んでいると、たまにこういう一冊が新鮮に感じます。読み聞かせの空気がまったく変わる。それもまた、絵本の力だと思います。
『あけるな』は何歳から?我が家の体感
我が家の体感では5歳から大人まで。5歳も8歳も、意味をすべて分かっていたかはあやしいですが、ページをめくるたびに増える警告の緊張感は、しっかり伝わっていました。読み終わって出た言葉は「おー」だけ。それで十分だと思える絵本です。
文字が少ないので、読み聞かせ自体はもっと小さい子にもできます。ただ、この「余白」を味わうなら5歳くらいからがちょうどいい、というのが我が家の感覚です。
こんな親子におすすめ
- 不思議な世界観が好きなお子さんがいる家庭
- 絵本でいつもと違う空気を作りたい方
- 谷川俊太郎・安野光雅の作品に触れさせたい保護者
- 「笑えない絵本」もレパートリーに加えたい家族
爆笑系の絵本ばかり読んでいる家庭に、たまに混ぜてみてほしい一冊です。
最後に
子どもの「おー」という一言を、私はずっと覚えていると思います。上手に感想を言えなくていい。言葉にならなくていい。何かを感じた、それだけで十分です。
読み聞かせは、笑わせるためだけじゃない。静かに何かを感じる時間も、子どもにとって大切な経験なのかもしれない——そう思わせてくれた一冊でした。
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