子どもが小学生になると、読み聞かせの本選びが急にむずかしくなりませんか。赤ちゃん向けはもう卒業、でも字ばっかりの読み物はまだ早い。しかも「感動する絵本」を選ぶと、だいたい親のほうから「ほら、いい話でしょ?」オーラが漏れて、子どもはスン……と真顔になる。我が家の本棚なんて、私が良かれと思って選んで4ページで飽きられた本の墓場と化しています。
そんな中で、8歳の息子が学校で読んできて「もう一回読みたい」と、わざわざ図書館で借り直してきた絵本があります。それが『駅のおかあちゃん』。5歳の娘までハマって、私は私で読みながら泣きそうになるという、にゆママ家まさかの全員ヒット作でした。年齢差のある兄妹で一緒に楽しめて、しかも説教くさくない。そんな感動系の絵本を探している人に、ちょうどいい一冊です。
「感動する絵本」って、ちょっと身構えませんか
泣ける絵本、いい話の絵本。響きはいいんですが、正直ちょっと身構えます。親が泣かせにいくと子どもは冷めるし、かといって淡々と読むと「で、何が言いたいの?」みたいな顔をされる。兄弟だと「これ読んで」「いや今いい」の押し付け合いも始まる。読み聞かせ、けっこう繊細な戦いなんですよね。
『駅のおかあちゃん』が良かったのは、その「泣かせにきてる感」がまるでないところ。淡々とした日常の話なのに、気づいたら親のほうがじんわりきている。子どもにバレずに泣ける、という意味でもズボラ親孝行な一冊です。
『駅のおかあちゃん』ってどんな絵本?(あらすじ)
作・まえだまさえさん、絵・鈴木博子さん、講談社の創作絵本です(2003年刊・32ページ・定価1,760円)。
舞台は、ぼくの町の小さな駅。そこにはみんなが「おかあちゃん」と呼ぶ駅の人がいます。悪いことをすればしっかり叱るけれど、ふだんはにこにこ。電車を待つ人も、通学する子どもたちも、みんなこのおかあちゃんに見守られて育っている――そんな、町とおかあちゃんのあったかい関係を描いたお話です。ネタバレは避けますが、終盤の展開で「あ、これそういう話だったのか」とぐっとくる作りになっています。
対象年齢の目安
文章量と内容から、しっかり味わえるのは年中〜小学校低学年(4〜8歳くらい)。読み聞かせなら3歳ごろからいけます。実際、我が家は5歳と8歳という地味に開きのある兄妹で、どっちも最後まで集中して聞いていました。この年齢差で両方ハマる本、地味にレアです。
8歳と5歳のリアルな反応
冒頭にも書いたとおり、息子(8歳)は学校で出会って、自分から図書館で借りてきました。「もう一回読みたい」と言う本ならうちにも山ほどあります。でも、自分で動いて図書館で借りてくるとなると話は別。本は基本「母が選んで運んでくるもの」だと思っているあの息子が、自力で借りてきた。これだけでもう私の中では殿堂入りです。ちなみにその後、私が延長手続きを忘れかけて危うく延滞、というズボラ母らしいオチも付きました。
娘(5歳)の感想は、ぽつりと一言「おかあちゃん、かっこいい」。語彙は少なめですが、おかあちゃんの頑張りはちゃんと伝わっていたようです。子どもの「かっこいい」って、こっちが用意した正解じゃないところに飛んでくるから面白い。
で、肝心の私はというと、おかあちゃんの頑張りが伝わってくる場面で、読みながら普通に声が詰まりました。隣で娘に真顔で「なんで泣いてるの?」と聞かれて我に返るまでがセットです。絵も、しんみりさせすぎない元気の出るタッチで、読んだあと気持ちがちょっと上向きになる。湿っぽく終わらないのがいいところだと思います。
みんなの口コミ・評判
我が家だけが盛り上がっているわけではないようで、絵本ナビでの評価は5点満点中3.9(9件時点)。「古き良き時代のおかあちゃん像が懐かしい」「町のみんなに見守られる温かさがいい」といった、地域や人とのつながりに心を動かされた声が目立ちます。
一方で「期待していたほどではなかった」という低めの感想も一部あります。万人がボロ泣きする派手な感動作ではなく、しみじみ系。そこは正直にお伝えしておきます。電車目当てで買った人がガッカリしているケースも、やっぱりありました(だから言ったのに)。
メリット・デメリット
良かったところ
- 年齢の幅が広く、兄妹で一緒に読める(5歳と8歳が両方ハマった)
- 「泣かせにきてる感」がなく、押しつけがましくない感動
- 絵が元気の出るタッチで、読後感が湿っぽくない
- 働く大人・地域の人の優しさが、説教ぬきで伝わる
気になったところ
- 2003年刊行で、絵柄に少しだけ時代感がある(個人的にはそこも味)
- 派手な盛り上がりはなく、しみじみ系。刺激強めが好きな子には物足りない可能性
- 「駅」の文字につられて電車の絵本だと思うと完全に肩透かし
こんな人におすすめ
年中〜小学校低学年の子がいて、読み聞かせで使える泣ける絵本を探している人。感動系だけど説教くさいのは勘弁、という人。あとは、年の離れた兄妹で「同じ本を一緒に」がなかなか実現しなくて困っている家庭にも、けっこう刺さると思います。小学生向けの感動絵本のストックを増やしたい人にも。
図書館で出会ったら、たぶん手元に置きたくなる
正直、まずは図書館で借りてみるのもアリだと思います。ただ我が家のように気に入ると、延長を繰り返した末に「もう買ったほうが早いのでは」という結論にたどり着きがち。延滞のヒヤヒヤから解放されたい人は、最初から手元に一冊あると平和です。
子どもが自分から「もう一回」と言った本は、たいてい何年か後にもう一度読みたくなる本でもあります。そのとき本棚にちゃんと居てくれる、というのは思っているより嬉しいものです。気になった人は、下のリンクから在庫と価格をチェックしてみてください。
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……ちなみに我が家の本棚の「4ページで飽きられた本の墓場」コーナーに、この本は入っていません。それが、にゆママ的な最大の褒め言葉です。

