「え、うらしまたろうってこんな話だっけ?」
子どもに絵本を読んでいて、思わず声に出た。竜王ってだれ。助けた亀が乙姫様だったの?しかも迎えに来たの、別のカメなんだけど…?
たぶん私、ふんわりした記憶で「知ってるつもり」になってただけなんですよね。同じ昔話でも、出版社や絵本によって細かいところがけっこう違う。今回読んだのは偕成社版(松谷みよ子・文/いわさきちひろ・絵)。読み聞かせボランティアで色んな絵本に触れてきた身としても、「うわ、そこ違うんだ」の連続でした。
この記事では、その"記憶とのズレ"を子どもと一緒に楽しんだ話をします。完璧に覚えてなくて大丈夫。むしろ違ってる方が、家族の会話が盛り上がります。
うらしまたろうのあらすじは版ごとに違う?知ってるつもりだった話
うらしまたろう、たぶん日本人なら全員タイトルは知ってますよね。亀を助けて、竜宮城に行って、玉手箱を開けたらおじいさん。オチまで言える。言えるんですよ、なんとなくは。
でも、いざ絵本を一冊しっかり読み返すと、「あれ、そこそうだっけ?」が次々出てくる。これ、私の記憶力がザルなだけ…と思いきや、どうやらそれだけじゃないらしい。昔話って語り継がれてきたお話なので、地域や時代、再話する人によって細部がけっこう変わるんです。だから出版社や絵本ごとに、登場人物も結末のニュアンスも微妙に違う。
そもそも、今の子どもたちは昔ばなしに触れる機会自体が減っているという話を前にブログで書きました。だからこそ、親世代も「知ってるつもり」のまま大人になってたりする。私がまさにそれでした。
つまり「うらしまたろうの絵本選び」って、どの版を読むかで体験が変わる。これに気づいてから、絵本売り場での見方がちょっと変わりました。
偕成社版『うらしまたろう』ってどんな絵本?(松谷みよ子・いわさきちひろ)
今回読んだのは、偕成社の「いわさきちひろの絵本」シリーズの一冊。書誌情報をざっくりまとめるとこんな感じです。
📖 書誌情報
| 文/絵 | 松谷みよ子(文)/いわさきちひろ(絵) |
| 出版社 | 偕成社(初版1967年) |
| 価格 | 1,320円(税込) |
| 対象年齢 | 2歳ごろ〜 |
まず絵。いわさきちひろさんの、あのにじむような優しい色合いです。竜宮城の場面なんて、海の中の光がふわっとして本当にきれい。派手な迫力で攻めるタイプじゃなくて、しっとり眺めていたくなる絵。大人が見ても普通に「いい絵だな〜」とため息が出ます。
文章は松谷みよ子さんで、声に出して読むとリズムがいい。歌うようにすらすら進むので、まだ小さい2〜3歳の子でも耳で楽しめる感じです。逆に言うと、うちの5歳と8歳には内容もしっかり届いて、その結果あとで触れる"会議"が勃発するわけですが…(後述)。
5歳と8歳と読んだら、家族で「うらしまたろう会議」が勃発した
さて本題。この絵本を子どもたちと読んでいて、私の中で"あれ?"が3連発しました。
竜宮城って乙姫様の世界だと思ってたら、まさかの竜王登場。いつの間にそんな偉い人が。
私の記憶ではそんな展開じゃなかったような…?
助けた亀じゃないんかい、と地味に動揺。っていうか歌でも「助けたかめに連れられて〜♪」って歌ってなかった?
で、面白かったのがここから。うちの子たちもうらしまたろうは知っているんですが、読んでいくと「あれ、ここちがう」と細かいところに反応していて。8歳と5歳それぞれの"思ってたうらしまたろう"があって、それを「私のはこうだった」「ぼくのはこうだよ」と話せたのが、すごく楽しかったんです。
気づいたら、絵本を真ん中に家族で記憶のすり合わせ会議。誰も正解を出そうとしてないのに、なぜか盛り上がる。読み聞かせって「ちゃんと読まなきゃ」と気負いがちだけど、こういうふうに脱線して一緒に笑えるなら、それで十分だなと思いました。
他の人はどう読んだ?口コミ・レビューの声
私だけが"あれ?"になってたのか気になって、ネットのレビューも覗いてみました。傾向としてはこんな感じ。
- いわさきちひろさんの色彩がとにかく美しい、という声が圧倒的に多い。竜宮城の場面を絶賛している人が多数。
- 「子どもの頃に読んだ思い出の一冊」という懐かしさ枠。世代を超えて読まれてるロングセラーなんだなと実感。
- そして見つけました、私の仲間。「竜宮城には乙姫様しかいないと思ってたら竜王がいた」と驚いてるレビュー。やっぱりそこ、みんな引っかかるポイントなんだ…と謎の安心感。
美しい絵で評価され、かつ"記憶とのズレ"でも楽しまれている。読み比べ入門として、なかなかいいポジションの一冊だと思います。
正直なところのメリット・デメリット
良いところ、ちょっと気になるかもなところを、フラットに並べておきます。
◎ メリット
- いわさきちひろの絵が美しく、大人も眺めて楽しい
- リズムのいい文章で、2〜3歳の小さい子でも耳から楽しめる
- 「自分の記憶のうらしまたろう」と読み比べると、家族の会話が生まれる
- 対象年齢の幅が広く、小さいうちから長く付き合える
△ 強いて言えば、なデメリット
- うちは読んでみて特に不満はなかったです。本当に強いて挙げるなら、絵も語り口もやさしいトーンなので、「元気いっぱい・ド派手な昔話」を期待している人にはおとなしく感じるかもしれない、くらい。
- あとは古くからある語り口なので、現代の子には聞き慣れない言い回しがちらほら。とはいえ絵本には注釈で意味が説明されている言葉もあって、しかも娘がドンピシャでその言葉の意味を聞いてきたので、どや顔で教えました(注釈を先に読んでおいた母。実はあいまいだったとは言えない)。聞き慣れない言葉も「これどういう意味?」と会話のきっかけになるので、個人的にはマイナスにはなりませんでした。
こんな人におすすめ(と、たぶん合わない人)
おすすめしたいのはこんな人。
- ✅ 久しぶりに昔話を読み返して、子どもと一緒に「あれ?」を楽しみたい人
- ✅ いわさきちひろの絵が好きな人(これは間違いなく刺さります)
- ✅ 2〜3歳から読み聞かせできる、長く使える定番を一冊そろえたい人
- ✅ 知育っぽくガチガチに構えず、ゆるっと絵本時間を楽しみたい人
逆に、にぎやかでテンポの速いお話が好みの子には、少しおとなしく感じるかも。そこは家庭の好みなので、絵のタッチを見て「好きそう」と思えたら、わが家的には買いです。
別の出版社版も読んでみたくなる(次回予告)
今回いちばんの収穫は、「うらしまたろうって、版によってこんなに違うんだ」と体で分かったこと。竜王が出てくる版、出てこない版。亀の扱いが違う版。結末の余韻が違う版。…これ、絶対ほかの出版社のも読み比べたくなるやつです。
📅 次回予告:というわけで、近いうちにうらしまたろうの出版社別・読み比べ記事を書く予定です。まずは入り口として、絵も文章も間違いのないこの偕成社版から手に取るのが、いちばん失敗がないと思います。
有名すぎて逆にちゃんと読み返さない昔話。でも一冊腰を据えて読むと、「私のうらしまたろう」と「絵本のうらしまたろう」のズレに気づいて、それを家族で笑い合える。覚え方が曖昧でも、むしろズレてた方が楽しい。そういう絵本の味わい方も、けっこういいものです。
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